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ベッドの固いクッションが揺れた。カサカサという布と布が擦れる音が聞こえる。胸の膨らみがフワリと包み込まれる。こそばゆさがそこに広がった。いつだったか、湯船の中で触れた自分の手のひらの感触には無かった感じが胸に広がる。
「いやんっ……」
――変な声がでちゃった。
ショーツに染み込んだ水がゆっくりと広がるのが分かる。それが気になって腰をよじった。生理の血液が広がるようだ。
「安倍さんの身体も……」
安倍の顔を手のひらで確かめる。少し前まで重なっていたその唇は粘りがまとわりついている。夕子は指先で自分の唇をなぞった。
――ネットリとした安倍さんの唾液……。
夕子のその手は筋肉質の安倍の腕から胸へと滑る。
「僕に背中を向けてください……」
安倍が夕子の背に手を当てた。
「えっ……あ、ハイ……」
言われた通りに、夕子は安倍に身体を向ける。背中にトニックシャンプーの匂いが近づく。自分の心臓の鼓動が聞こえるようだ。
ブラウスの上に羽織ったカーディガンがふっと浮き上がる。
――えっ……?
カーディガンはスッと夕子の腕から抜けた。エアコンの空気が近くなったようで肌寒い。
夕子は次に起こることを予感した。
「シャワーにしましょう。立花さん……?」
「……ハイ」
夕子の背後でカチャカチャと小さな鉄が当たる音がしたあと、チイっというジッパーを下ろすような音が聞こえる。スッという布が擦れる音だ。
夕子も自分のブラウスのボタンを外し始める。胸の辺りが開け始めるのが分かる。まだ、シャツとブラジャーが夕子の身体を隠しているはずだが、安倍の視線が気になった。
「あの……安倍さん?」
「……ハイ……」
「今、私、見ていますか?」
「ええ、立花さんの後ろで……」
夕子の背中に安倍の手のひらを感じた。身体の力がスッと抜けた。
「……恥ずかしい。安倍さん、目を閉じていてくださいね」
ふっと、吹き出すような安倍の息づかいが聞こえた。夕子はスカートのホックを外した。スカートが脚から抜けてゆくのを感じた。エアコンの風が太腿を感じる。
「ハイ……分かりました」
「安倍さん、笑いましたね。今、ふっと……」
「……いえ……可愛らしい、と思いまして……」
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