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あなたへ贈る最期の花束
私とあなたがいる場所は、小さな小さな花畑。
白い薔薇を敷き詰めた。廃れたアパートの一室に。
あなたは私に見向きもしない。
「好きだ」と言ってくれるのも、
ベットの上の私だけ。
爛れた男女の関係に「もう疲れた」とあなたは言った。
私の気持ちも知らないで。
だから最後だけでもと、白い薔薇を敷き詰めた。
999本の、『純潔』『純粋』『清純』を。
そしたらあなたはこう言った。
「気持ちが悪い、やめてくれ」
だから私は諦めた。
「純粋」なんて馬鹿みたい。
あなたの愛しい心臓を、真正面から突き刺して、
真白の薔薇の絨毯を、鮮やかな赤で染め上げる。
赤い薔薇に囲まれて、あなたと私二人きり。
『愛情』に包まれ二人きり。
夜が明けても二人きり。
いつもあなたはいなかった。次の朝にはいなかった。
だから今はこんなにも、満たされた気持ちでいっぱいで。
ひんやりとした手を握り、あなたにそっと口付けを。
黒く染まった薔薇の花。白よりずっと美しい。
『純粋』なんてどうでもいい。
黒い薔薇の花言葉。
『永遠の愛』をあなたと共に。
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