〜ceremony〜

4/4
前へ
/87ページ
次へ
一目ぼれだった。 それなりに遊んで、そこそこ楽しい学園生活を送っていたけど、ほんの少しだけ”退屈”だった いつものように女に囲まれてキャーキャー黄色い声の中心にいるのも悪くはなかったけど。 それに、その美貌だけじゃない すごい数の男たちに囲まれて、俯く女。小刻みに震えてるのを見て、男慣れしてないんだと思った。 尚更、俺は興味が沸いた あんな美人なのに擦れてないってのが男心を擽る 俺と目があった女はその場から立ち去ろうとしていた そして、気が付けば俺は彼女の腕を掴んでいた 驚いたように目を見開いて俺を見る。その眼は潤んでいて今にも涙が零れそうだった 「一緒に踊って貰えませんか?」 「・・・・・//」 「・・・怖い?」 「・・・・はい」 「取って食ったりしないから、大丈夫。安心して?」 「・・・はい///」 安心したように微笑むと、ダンスをするためにホールの真ん中に立つ スポットライトを浴び、踊る俺たちを、周りの群衆は羨望の眼差しで見ていた。 そして、その腰に手を伸ばすと 華奢で折れてしまいそうなほど細かった ヒールを履いているけど、俺よりもほんの少し低い身長。 身体を密着させて躍ると、なんだかしっくりきた でも、一向に俺と目を合わさない女 こんなのは初めてだった。 俺の周りにはこういう控えめな女はいない。どちらかというとグイグイ積極的なタイプが多かったから、すごく新鮮だった。 でも俺に落ちなかった女は、この学園に存在しなかったから、”彼女が俺に興味を示さなかったこと”に興味を覚えた そしていつの間に俺は彼女を連れて、このセレモニーから抜け出したんだ
/87ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加