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一目ぼれだった。
それなりに遊んで、そこそこ楽しい学園生活を送っていたけど、ほんの少しだけ”退屈”だった
いつものように女に囲まれてキャーキャー黄色い声の中心にいるのも悪くはなかったけど。
それに、その美貌だけじゃない
すごい数の男たちに囲まれて、俯く女。小刻みに震えてるのを見て、男慣れしてないんだと思った。
尚更、俺は興味が沸いた
あんな美人なのに擦れてないってのが男心を擽る
俺と目があった女はその場から立ち去ろうとしていた
そして、気が付けば俺は彼女の腕を掴んでいた
驚いたように目を見開いて俺を見る。その眼は潤んでいて今にも涙が零れそうだった
「一緒に踊って貰えませんか?」
「・・・・・//」
「・・・怖い?」
「・・・・はい」
「取って食ったりしないから、大丈夫。安心して?」
「・・・はい///」
安心したように微笑むと、ダンスをするためにホールの真ん中に立つ
スポットライトを浴び、踊る俺たちを、周りの群衆は羨望の眼差しで見ていた。
そして、その腰に手を伸ばすと
華奢で折れてしまいそうなほど細かった
ヒールを履いているけど、俺よりもほんの少し低い身長。
身体を密着させて躍ると、なんだかしっくりきた
でも、一向に俺と目を合わさない女
こんなのは初めてだった。
俺の周りにはこういう控えめな女はいない。どちらかというとグイグイ積極的なタイプが多かったから、すごく新鮮だった。
でも俺に落ちなかった女は、この学園に存在しなかったから、”彼女が俺に興味を示さなかったこと”に興味を覚えた
そしていつの間に俺は彼女を連れて、このセレモニーから抜け出したんだ
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