チィとの出会い

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チィとの出会い

「ぅわあぁあっ!」 驚いた拍子に、ぼくは悲鳴を上げてしまった。 しんみりと物思いに耽っているときに、背後から唐突に声をかけられたからだ。 早鐘を打つ左胸を抑えて振り返ると、見かけない少女が立っていた。 おかっぱ頭のぱっつん前髪の下から、いたずらっぽいクリクリとした目が輝いている。 「たまげちまった? ごめんなんしょ。」 びっくりするほど訛っている。 このあたりでも、ここまで訛っている子は、なかなかいない。 「わたしはチィ。あんた、何見てたの?」 その質問に、ぼくはハッと現実に引き戻された。 「うん…。あれ、水芭蕉。ちょっと枯れちゃってるやつ。」 しどろもどろに続けた。 「この公園、おばあちゃんとの思い出の場所なんだ…。  ぼくのおばあちゃん、2年前に死んじゃってさ…」
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