1人が本棚に入れています
本棚に追加
チィとの出会い
「ぅわあぁあっ!」
驚いた拍子に、ぼくは悲鳴を上げてしまった。
しんみりと物思いに耽っているときに、背後から唐突に声をかけられたからだ。
早鐘を打つ左胸を抑えて振り返ると、見かけない少女が立っていた。
おかっぱ頭のぱっつん前髪の下から、いたずらっぽいクリクリとした目が輝いている。
「たまげちまった? ごめんなんしょ。」
びっくりするほど訛っている。
このあたりでも、ここまで訛っている子は、なかなかいない。
「わたしはチィ。あんた、何見てたの?」
その質問に、ぼくはハッと現実に引き戻された。
「うん…。あれ、水芭蕉。ちょっと枯れちゃってるやつ。」
しどろもどろに続けた。
「この公園、おばあちゃんとの思い出の場所なんだ…。
ぼくのおばあちゃん、2年前に死んじゃってさ…」
最初のコメントを投稿しよう!