一緒に眠りましょう

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 好きというわけではないが、毎晩コーヒーが机の上に置いてある。  彼女の分と、僕の分。いつも決まって、彼女が注いでくれる。しかし僕は、そのコーヒーを飲んだことが一度も無い。  最初のときは、今でも記憶に残っている。今日のように、机の上にはコーヒーが二杯分置かれていた。彼女が二杯とも飲むのかと思って飲まなかったが、どうやら違うらしいと気が付いた時には、もう夜が更けていた。  明日は早いので、コーヒーを飲んでしまうと、カフェインだかの影響で眠りが浅くなってしまうかもしれない。そういうわけで君が飲みなよといった。無論、それなりの罪悪感があった。好意を無碍にするときは、いつだってそうだ。  しかし、そのときに限っては、不思議なことに罪悪感は湧かなかった。理由は分からない。眠くて感情が緩やかであったからか、それとも彼女が残念そうな顔をしていなかったからか。理由は分からない。  そういうわけで、最初のときは飲まなかったのだ。それならば、次回からは飲めば良いのではないかという話なのだが、何となしに、そのコーヒーを飲みたくない気分が続き、ついぞ飲むことは無かった。
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