●2. やっちまった

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キッチンタイマーが、3分時間が経った事を告げると、絢音はカップヌードルのフタを開け、それを使い捨てのフォークと共に少年に手渡した。 「やべ、マジで旨そう!」 ゴクリと生唾を飲み込み、腹の虫を鳴らすと、少年は早回しをした映像みたく、カップヌードルをスピーディーに口に運んでいった。 最後にスープを一滴も残さず全て飲み干すと、少年はまだ食べ足りないのか「あの、出来ればおかわり……」と、絢音の様子をうかがうように上目遣いで尋ねてきた。 「さすが、育ち盛り……」 少年の上目遣いに心が高鳴った絢音は、乱れた呼吸を整えながら立ち上がると、ヤカンに火をかけ、予備のカップヌードルのフタを開ける。 二杯目のカップヌードルも食べ終え、舌を舐めずりながら「ごちそうさまでした」と少年は言うと、絢音の目を見据え、自分が何故暴行を受けたのかという事を語っていった。 少年の家は、母子家庭であった。 そして、少年が中学生の頃、水商売をしながら少年を育てていた母親が重度のアルコール中毒で入院。 そのせいで、家庭の経済状況は悪化してしまい、結果少年は家出をして不良友達やセンパイ方の家を転々としていたのだそうだ。 そして、その流れでとある不良グループに入るのだが、そこで少年は「ちょっとした事」で揉めてしまい、グループのセンパイ方から暴行を受けた後、服を脱がされあの公園に投げ捨てられたとの事であった。 「うわ……、そんなドラマみたいな話、ホントにあるんだ」 全ての話を聞き終えた後、絢音は破天荒なその話の内容に、ただただ顔をしかめるのみであった。 「まっ、信じる信じないはお姉さんの自由だけどね」 少年は肩をすくめる。 「じゃあさ、君は今のトコロ、帰る家が無い訳? さっき君、『退院したババアは、男作って、今じゃドコにいるのかよく分からない』って言ってたじゃん」 「そういう事」 少年は、片目をつむる。
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