●2. やっちまった

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「あの、俺、北斗(ほくと)っていうの。 喜多島北斗(きたじまほくと)、『北斗の拳』の北斗。 『北斗の拳』、読んだ事無いけど」 ひとしきり笑った後、少年は目尻に溜まった涙を拭いながら答えた。 「へー、何かカッコいい感じ」 絢音は顔を綻ばせると、 「アタシは絢音、篠宮絢音っていうの。 改めてヨロシクお願いします」 と、自己紹介をした。 「ヨロシクお願いします」 絢音に続いて、少年も顔を綻ばせる。 「君みたいな、可愛いイケメンが家にいる、ってなったら、毎日帰るのが楽しみになるだろなー」 「えっ?」 「何でもない、独り言」 絢音はごまかすように苦笑すると、ダイニングテーブルに置いていたスマートフォンを手に取った。 「じゃあ、取り敢えずはその格好を何とかしようか。 替えの服もいるし、そのままじゃ外も出歩けないしね」 少年の姿格好を見ながら絢音は言うと、フリマアプリを立ち上げる。 「あっ、このTシャツ可愛い。 値段も500円で手頃だし、まずはこういうのを買っていこうか。 パンツは、後で探していくとして」 絢音はキャキャと嬌声を上げながら、スマートフォンに写し出された画像を、北斗という名の少年に対して見せた。 「俺はもう、何でもいいよ。 お金も服も、今の俺は何一つとして持ってないんだから」 北斗が弱々しくかぶりを振ると、絢音はスマートフォンの画面と北斗の姿を順繰りに見ながら、次々と衣服を購入していった。 こうして、奇妙な縁をキッカケとした二人の同居生活が始まった。 最初の内は二人とも、この同居は一時的なモノで、2ヶ月もすれば終わるモノだと思っていた。 しかし、結果から先に述べると、恋人同士でもない二人のこの同居は、2ヶ月どころか1年3ヶ月に及ぶモノとなるのである。
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