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すると、「ワカメスープ」と「カップヌードル シーフード」が、3つずつ引き出しの中に入ってあった。
そして、カップヌードルを見つけた事で絢音もまた空腹を覚えたようで、時刻はまだ10時30分を回ったトコロではあるが、「遅めの朝ごはん」と「早めの昼食」を兼ねて、絢音はワカメスープを食べる事にした。
ヤカンに火をかけると、絢音は未だ傷だらけの状態で毛布にくるまっている少年を見ながら、ふと思った。
──この子、何でこんな傷だらけなんだろ。
昨日の酔った勢いの一言で、神様がこの少年を授けてくれたのだとしたら、あまりにもミステリーが多すぎる。
さすがに全身血だらけ、という程の重傷ではないが、あちらこちらに点在している打撲の跡は、痛々しい限りだ。
何より、どういう経緯で暴行を加えられ、裸の状態で捨てられていたのか、もし少年が目を覚ませば、絢音は興味本位も加わり是非ともその旨を訊きたいと思った。
「しかし、見れば見る程、可愛い顔してんな、この子……」
ダイニングチェアに座った状態で絢音が少年を見ていると、ヤカンが沸騰した。
絢音はヤカンを手に取り、ワカメスープにお湯を注ぐと、そこに隠し味の味の素と醤油を少し入れ、3分待つ。
出来上がったワカメスープは、二日酔いで頭痛をもたらしている絢音の体調を幾ばくか癒してくれた。
「クソ男にフラレた今のアタシにとって、ワカメスープとそこの男の子が数少ない癒し……」
自虐的な独り言を絢音が呟いていた、その時であった。
そばで眠っていた少年が、「ごはん……」という声と共にゆっくりとその瞼を開けた。
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