スノードロップ症候群

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僕たちは寮に着くと、彼女の部屋から図鑑を持ってきて、床に広げ、彼女が描いた絵から何の花なのかを調べた。 「すずらんみたいだったけど、なんかちょっと花の感じが違かったよね」 「はい。すずらんはもっとお花が丸っこい感じだと思います」 「んーどれだろうね」 僕たちは、頭を突き合わせて図鑑のページをめくりながら、載っている写真を確認していった。 「これじゃない?」 僕は、何ページかページを見た後に、写真を指さした。 「そう!それですね!」 彼女は、自分のスケッチブックと、図鑑の写真を何度か見比べて興奮気味に言った。 「スノードロップって名前なんですね。素敵です。」 「花に雪の名前入ってるね。」 「はい。あそこで見つけられたのは、運命かもしれません」 「今度近くのお花屋さんで買ってこようか。」 僕は、そう言って図鑑を閉じた。 スノードロップ。もう一回花の名前を繰り返す。恋人の雪にぴったりの可憐な花だった。
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