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 フウセンカズラはぐんぐん伸びて、鉢に入りきらなくなりました。お外の花壇に移して、ツルを絡ませる棒も立ててあげました。  大きくなあれ、大きくなあれ。  お日様の光をあびて育ったフウセンカズラは、白いお花を咲かせました。そうして、そうして、今度は風船が咲きました。  ぽん、ぽん、ぽん。ぽぽん。  緑色の風船がたくさんです。  兄ちゃんがまたぼくのところにやって来たのはその時でした。 「兄ちゃん兄ちゃん、風船が咲いたよ」 「そうとも。だからこのお花はフウセンカズラと言うんだよ。種がフクロウで大きくなると風船になって、面白いだろう」 「フウセンカズラにつかまったらお空を飛べるかなあ」  兄ちゃんはぼくの頭をなでてにこにこ笑いました。そして、ぼくの車椅子を押してお部屋まで連れて行ってくれました。 「あのね、兄ちゃん。ぼく兄ちゃんみたいになりたいんだ。飛行機に乗って、世界中を旅するんだ」 「なれる。きっとなれるよ。もうひと頑張りだ。絶対よくなるって信じていれば、歩けるようにだってなるし、飛行機にだって乗れるんだ」  今はまだフクロウさんがくれた緑色の風船に乗る夢を見るだけだけれど、大人になったら兄ちゃんと同じ景色を見たい。見てやるんだ。そう思って、ぼくは「えいえいおー」と気合を入れました。
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