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すなのおしろは、もうとっくにくずれてしまったかな。
だれもいない公園のまんなかにぽっかりとうかぶ、灰色の砂場のことを、わたしはふと思い出してみた。
わたしは以前、その公園で近所の友だちと遊んでいたのに、ここずっと、わたしは外に出歩けないし、友だちがみんな今、なにをしてなにを考えているかなんてことも、あたりまえだけどまったくわからないままなんだ。
そのふだんいっしょに遊んでいたお友だちもみんな、たまたまその同じ空間でひとり遊びをそれぞれしていたのと変わらないような関係だった。
ある子どもは歌を歌い、ある子はおどりをおどり、ある子はお空を見上げてひなたぼっこ。それぞれがそれぞれの遊びに夢中になって、みんなわたしから目をそむけている。
つまり、わたしはその公園の花だんにうわっている草花と同じくらいの存在だったのだろう。その子どもたちにとって。
わたしにとって、その子たちの存在はなんなのだろう?
やっぱり、わたしにとってもその子たちは、ただの草花というだけの、ちっぽけな存在だったのかな。
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