バラバラ殺人事件

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ミステリー好きの私の元に、友人からクイズと称して妙なメールが送られてきた。 【容疑者リスト】 ①曽根愛美:被害者の同僚 ②鳥羽華子:被害者の隣人 ③清田純江:被害者の恋人 どうやら犯人を当てさせるものらしい。容疑者の女性の名が三人並べられている。 【現場の様子】 バラバラに切り刻まれた男性の死体。 傍らには薔薇の大きな花束。薔薇は白だったが、被害者自身の血で半分ほど赤く染め上げられている。 現場には『ハナコトバ』というダイイングメッセージが残されていた。 ……薔薇だけにバラバラなのだろうか。だとしたら、とてつもなくくだらない。 それよりも、花言葉だ。どういう意味だろうか。薔薇の花言葉が犯人を示すということなのか? そして、薔薇の色に関する細かい説明も気になるところだ。 あいにく花にも花言葉にも明るくない。さっそく調べてみれば、薔薇には色別に花言葉があるらしい。 白い薔薇は、純潔、尊敬。他にもあったが一旦置いておく。 そして、赤い薔薇は、愛と美だ。 となると、気になるのは容疑者の名前。 白い薔薇なら③の清田純江がイメージ的に当てはまりそうだが、赤い薔薇であれば、①の曽根愛美がまさにそのままだ。 薔薇の色は見事に半々。しかし、赤はあくまで血で染ったものだ。もともとは白い薔薇だったと考え、③の清田純江が犯人でいいのだろうか。 けれど、首を捻らざるを得ない。ヒントとしては非常に心もとないのだ。花言葉の意味はひとつではないし、さらには本数によっても変わってくるのだと言う。 では、花言葉から推理するのではない、ということだろうか。しかし、他に特別な情報と言った情報は……。 いや、もうひとつ情報があった。 【被害者の身元】 ロバート・デッド。アメリカ人。日本語の読み書きは平仮名片仮名まで可能。 ロバート・デッド……可哀想な名前だが置いておこう。それよりもだ。 この日本語に関するどうでもいい説明書きはなんだ。ダイイングメッセージを残しているんだから当たり前だろう。 と心の中で一旦呆れ返ったのち、はっと思い当たった。 ──まさか、そういうことなのか?
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