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チャプター1/ケイコ、エロマックス(?)オトコと出会う
その1
ケイコ
わ~!
新人戦だっての!
まさしく五月晴れの汗ばむ陽気のなか、県民運動場で私は短距離の予選に出場
一応、3位に入り準決勝には進んだんだけどね…
...
「おけい、やったじゃん。”次”も頑張ってね!」
「ありがとう。まあ、3位ギリギリだから次は厳しいだろうけどね、はは…」
私が会場隅の外水道で顔を洗っていたら、同じ滝が丘高校陸上部の同級生、桑原里美子が声をかけてきたわ
「ああ、リミは先週終わったんだだよね。4位だったっけ?」
「うん。スタートが全然ダメでさ、予選落ちだよ。情けないわ。だからあなたには先輩も期待してるわ。なにしろ今日は、前主将も会場に来てて見てたしね…」
「いやあ…、緊張するわ、それ聞いちゃうと」
「ハハハ‥、おけいは緊張ってガラじゃないって。ああ、私、これからグランド整備の方に回るんで行くね。とにかく頑張って!」
リミがそう言って手を振りながらグランド中央へ駆けて行って、首に巻いてたタオルで顔を拭っていると…
私の背中に他校の男子が声をかけてきたわ
...
「キミ、ジャージのお尻んとこ、糸クズみたいのついてるよ。恥ずかしいよ、そんなんでみんなの前出たらさ。取ってやろうか?」
振り向くと、結構背の高い男子がニヤケた顔して立ってたよ
ジャージには”KURONUMA”と書かれていた
おお…、コイツ、黒沼高校の陸上部か…
まあ、ここにいるってことは同じ新入生かな
それにしても…
お尻についたゴミ、男に取ってやろうかって言われたって、”うん、お願い!”なんて答えるかっての!
「あのね、親切に教えてくれてありがたいけど、年頃の女の子だよ、私は。女子の部活仲間に取ってもらうよ。じゃあ…」
私はそう言って水飲み場を走り去ろうとした
すると…
...
「おお、飛んじゃったわ。糸くず。よかったね」
すかさずそんな一言を返してきたわ、コイツ
さらに私の顔見ながらニヤついてるし
「アンタさ、ひょっとして適当なこと言って私のお尻触ろうとしたんじゃないの?」
「あらら、バレてた?」
全く…、何ともあっさりと認めてくれたわ
「この…」
「このスケベ!だよね…」
おい、おい…、私のセリフ、先に口に出すなって…
「アンタ…、私をナンパしてる訳?」
「だとしたら、どうする?」
「私はアンタみたいなどスケベ、一番嫌いなんだよね。100%お断りだわ」
「そう。なら無理は言わないよ。オタクが言うようにオレ、めちゃくちゃ女好きなんだけど、ペチャパイはあんまり好みじゃないしな」
カーッ!
なんだとー、コイツ…!
...
「テメー!初対面の女の子に失礼だろ!謝れ、このヤロー!」
「ああ、ゴメン。はっきり言っちゃって」
はー?
速すぎだって、謝るの
そんな間髪入れずにゴメンとかって‥、反省もしてないで口先だけだろが!
私は顔を真っ赤にして、なんて言葉で怒鳴りつけてやろうかと一瞬頭を巡らせた
したら、またもや私が口を開く前にすかさずベラベラとのたまってきたぞ…
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