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「俺があいつらの正体を暴く。それから親父たちの情報を手に入れる。ミドリは植物の世話でもしとけ」
エニシの言葉が背後から聞こえた。
玄関のドアの前に立つ。
向こうにいるのは人間か? それともお人好しのヒューマノイドロボットか?
振り替えるとエニシは既にいなかった。裏口の扉が閉まった音がした。
玄関のチャイムがまた鳴った。
僕はドアを開けた。
腰くらいの高さのヒューマノイドロボットが段ボール箱を差し出していた。
「こんにちは、ミドリ」
ピンク色に塗装されたボディがギシギシ鳴る。
「ママ、きちんとお休みもらえてるの?」
僕たちはヒューマノイドロボットに話しかけるときは必ず「ママ」と呼ぶように躾けられた。
それ以外の名前で呼ぶと荷物を没収される。
ママが嫌でエニシは二度と配給の時間に出なくなった。
「ママにお休みなんていらないの」
「そうなの?」
僕の母さんはどうだったっけ? 確かに毎日仕事をしていた。きっと今も。
「今日の種はネリネだよ」
箱とは別に紙袋をもらう。ネリネ。この星にはまだない植物だ。
「ママ、いつもありがとう」
「いいのよ」
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