虹色のニュートンをあなたに

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「やった、ついに完成した」 俺は目の前にある花を見つめて、感嘆の声をあげた。 「思ったより、ずっと時間がかかったな……。けどようやく咲かせることができた、虹色のニュートンを」 そっとニュートンの花びらに触れる。 赤、青、黄、緑、橙、紫、藍の七色が、花を美しく彩っていた。 恐らく人類でまだ誰も成し得ていないことを、俺は達成したのだ。 じんわりと実感がこみ上げてくる。 「大丈夫だよな、ほんとに七色あるよな?……ある、あるな。ほんとに、綺麗だな」 思わず不安になる。 何度も何度も確認したのに、それでもなお何回も見てしまう。 しかし当たり前のように、眼前には完全な成功の結果が佇んでいた。 「よし……!これで、あの人に会いに行ける。これを、渡しに行けるんだ」 くじけそうな時もあった、投げ出しそうになる時もあった。 それでもなお頑張れたのは、あの人に会いたいという固い意志があったからだ。 あの人がいなかったら、俺は成功できていない。 「待っててくださいね、熱海さん」 俺はあの日もらった名刺を取り出して、そこに記された場所へ向かう準備を始めた。
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