序章:綻び

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ーーサンニア、ファクター格納庫ーー 「サンキュー、メレミア。お前の情報のおかげってもんだ」  サンニアに戻ったシェスは[メレミア・パレラ]に通信越しで感謝を伝えていた。 『偶然に過ぎないわ。あの辺りに潜伏するゲリラ部隊の大元も掴めてないんだし』 「だとしてもってやつだ。俺たちが睨んでるって分かれば動きにくくなるだろ?」  シェスの言葉にもメレミアは『のうてんきね』と言い放つと通信を終える。  シェスは頭を掻きながらもノーマルを格納庫まで移動させた。  格納庫の片隅には[ホープ]のコックピットが置かれており、多数の整備員が解析作業を行っている。  その横にノーマルの格納場所があり、シェスはそこまで機体を歩かせて固定アームを展開させた。  コックピットハッチを開け、ワイヤーロープを伝って機体から降りていると「シェス君、お疲れ様」と[キャニー・リライン]から声をかけられた。 「ノーマルの調子はどう? まだ試運転の段階でしょ?] 「よさげッスね。[リフレクションシステム]もちゃんと動いてくれるッス」  キャニーは微笑んで「なら良かったわ」と言い、シェスに飲み物を手渡す。
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