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殺人事件の真犯人
枕元に置いた時計がアラームを鳴らす前に目が覚めた。
液晶の表示は六時五〇分。たった今まで見ていたはずの夢が霧散して、わたしは現実世界に引き戻されている。
隣のベッドはすでに空で、夫はもう起きていてダイニングキッチンかリビングにいるのだろう。
部屋を出てダイニングキッチンに移動すると、すっかり身支度を整えた夫の光介は、朝食の準備を終えてテーブルについている。窓から差し込む朝日がフローリングを矩形に照らしている。
「おはよう」
と、声をかけてきた。テーブルには焼いたトーストとカップスープが二人分置かれ、皮をむいて切り分けられたリンゴが皿に盛られていた。
「今、起こしに行こうとしていたところだった」
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