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誰よりも強い少女には、秘密がある。
そして、その秘密を知るのは――たった1人、僕……天川結弦だけだった。
僕が放課後に来たのはとある神社だった。
その神社には何故か14年前から年中桜が咲いていることから、『桜の神社』と呼ばれているらしい。
「嗚呼、大峰さん」
「天川くん。なんだか久々な気がするね」
大峰さんも、この神社の常連さんだ。
「いやあ、なんだか久しぶりな気がするな。――そう感じるだけなのかな?」
実際には、昨日も来たのだけれど。
まぁ、大峰さんは『あっち』へ行くとほぼ別人だから仕方ないか。
「そうかもしれないね。――今日も、お邪魔します」
そう言って一礼してから、僕は鳥居をくぐった。
――来た。
そう思った時、彼女は――もう1人の彼女になる。
「やぁ、『弥生』。1日ぶりかな?」
「『結弦』……うん、そう、かな? 実際にはきっとそうじゃないけど――そうみたい」
言っていることはよく分からなかったが、僕は彼女といつも通り神社の中を歩く。
人間の中には、ごく稀にとある場所へ入ると『不思議な存在』になる者がいるらしい。
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