看護師のいとこ

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看護師のいとこ

私は見えないけど結構頻繁に変な体験を経験する、引き寄せ体質のようなものだと思う。私の母は見える人だし、実際本当かはわからないが父方の血筋に霊媒師の人がいたらしい。そのおかげ、といっていいかは知らないが、いとこに一人幽霊が見えるし引き寄せ体質の姉ちゃんがいる。 その姉ちゃんの引き寄せ体質は家族間では有名で、昔は知らず知らずのうちにいわくつきの石を川から拾って家に持ち帰り、お祓いをするまで高熱にうなされ続けたこともあると聞いた。その話もなかなか怖かったのでまたの機会にお話ししたい。 今回は、そんな姉ちゃんが看護師になって間もないころ、病院は予想通り怪談話の宝庫だったらしく、特に夜勤の時に何かと妙な体験をしたらしいので、3個ほど聞いた話をを紹介したい。 先輩とナースルームで談話していた時、、ある病室の呼び鈴がしきりになったのだが、その場にいた看護師の人たちはその病室に行きたがらなかった。なぜなら、その病室にいた患者さんは一週間前に亡くなっており、当時その病室は空き部屋だったし、三日前から誰もいない病室の呼び鈴が鳴る、とうわさがあったらしかったからだ。ここで問題なのは、誰がその病室に行くか、だ。自分の病室を抜け出した患者さんがその病室に迷い込んでしまった、等の可能性を捨てきれないため、だれかが必ず確認しに行かなければならない。そこで白羽の矢が立ったのはその場で一番年下の姉ちゃんだった。 しぶしぶ懐中電灯をもって階段を降り、例の病室の前まで来て、静かに扉を開ける。 「だれかいますか?」 中を照らして確認したのだが、案の定中には人はいなかったが、何かの気配がする、と思ったらしい。だから諭すように、 「ここはもうあなたの部屋じゃありません。あなたのいるべき場所はここじゃないですよ。」 と言ってその場を立ち去ったのだそう。 姉ちゃん曰く、自分が死んだことに気づかずに病院にとどまってしまっている、ということは少なくないらしく、変に刺激することなくそっとしておきたかったのだとか。 ある夜姉ちゃんが書類整理をしていたら、先輩が缶コーヒーを差し入れに買ってきてくれたので、お礼を言って受け取り、机の上に置いたら音もなく缶が机の端までスライドしたのだそう。先輩が 「手品できるなんてすごいね!どうやってるの?」 と机の下を覗き込みながら聞いてきたのだが、もちろん姉ちゃんもその先輩も缶に何か小細工をしたわけではない。正直に自分は何もやっていないことを伝えると、 「またまたぁ~何かしら種があるのよね、もう一回やってみてよ!」 そういって先輩は机の中央に缶を移動させたところ、またひとりでに缶がスライドしたんだそう。缶以外のものは移動しておらず、その机が歪んでいたり、机の下に何か細工があったというわけではない。 姉ちゃんは缶を手に持ち、先輩を促して二人で何事もなかったようにその場から離れ、その話題には触れず休憩を楽しんだそう。 先輩と姉ちゃんが休憩をしていた時、目の前のテレビいきなりついたかと思うと、灰色の画面でジージー、と音がして、いわゆる砂嵐になった。誰もつけていないのにいきなりこの状態、先輩はリモコンをさっと取り、チャンネルを変えようにもすべて砂嵐。 「コンセント抜いてみてくれる?テレビの調子悪いのかな…」 幽霊とかそういうたぐいのものを信じない先輩は、あくまで気にしていないかのように姉ちゃんに言った。 姉ちゃんがコンセントの方に近づき、抜いてみたのだが、テレビは真っ黒な画面にはならず、灰色についたままだったそうで、 「先輩、これ、どうしましょう?」 そう言って、抜いたコンセントが後ろにいる先輩に見えるように掲げて見せる。 「さしといて!私たちは何も見ていない。テレビは故障してるみたいだから明日問い合わせよう。よし、コーヒーを買いに行こう。」 先輩は早口でまくし立てると、姉ちゃんがコンセントを差し込んだや否やその部屋を出て行ってしまったので、姉ちゃんもその後を追って足早にその場をあとにした。
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