三十路プリンセス

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三十路プリンセス

「おーーほほほほほほ! あなたこれで本当にいいざます? おーほほほほ」 「し、白鳥さん。もうそれ死語よ? 死語」 「はあい? 死後ってわたくしは死んではございませんことよ?」 「あ、あの白鳥麗子さんだっけ?」 「なんでございます?」 「いや、もうあの時代はとっくに終わってるのよ?」 「終わっても私はプリンセスよ?」 「……い、いや、だからね? 白鳥麗子さんだっけ」 「軽々しく人の名前呼ばないで欲しいものだわ」 「ハア……」  この白鳥麗子。お嬢様だった片鱗はあるのはわかるが、もすでに年は令和。お嬢様ぶりを発揮しようと思った白鳥だろうが、彼女はもう三十路をすぎたオバハンと化して時代錯誤だと使用人の山田は思った。 「私今日限りでお手伝い辞めさせていただきます」 「あーた、それでもわたくしの僕なの?」 「もう無理です。そのキャラは流行りませんよ。あんた唯のオバハンよね?」 「キー! なんざますか。その口の利き方は!」 「さよなら、三十路ばばあー!」 「意味不明よ。あーた!」  もはや、白鳥あなたの方が意味不明よと山田は思った。  否、一番意味不明は、この作品だ。
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