それ、なんの影響だよ

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それ、なんの影響だよ

 とある休日。昼下がりの公園。子供たちの声が賑わいを見せ、ブランコや鉄棒、砂場で(わたむ)れて遊んでいる、微笑ましい光景が広がっていた。  単身、子供の美鈴(みすず)と一緒に公園に来ていた。美鈴はひとり鉄棒で遊んでいる。砂場へ目を向けると、幼稚園児だろうか、小さな男の子と女の子、それぞれ四名が、お飯事(ままごと)のように戯れあう。さながらテレビドラマのワンシーンのように家で(くつろ)ぐ、夫婦役と、別役に別れて演技をしているようだった。 「おかえりなさい、あなた」 「ただいま」 「ご飯にしますか? それともお風呂?」 「ご飯にしようかな。桜は、もう寝てるの?」 「はい。さっき、(しゅん)くんが、来てたけど、もうぐっすりです。寝顔見ますか?」 「そうだね。ちょっと桜、見てくる」 「ガチャ、どれどれ桜は寝てるかな?」 「やばい、お父さんが来た。迅くん、隠れて」 「うん。どうしよう。でもどこに?」 「一緒にベッドに入ってたらわからない」 「ガチャ。桜……。いい寝顔だ。飯でもするか」 「アハハハッ。モゾモゾしたら迅くんったら。こそばいよお!」 「お前、だっ、誰だ! うちの娘に何をした!」 「お、お父さんごめんなさい」 「僕、桜ちゃんが好きなんです。桜、いや桜ちゃんを僕にください」 「ダメだ。不届きものは、出ていけ。二度とウチに入るな。ウチの娘に手を出した奴の顔など、見たくもない」 「お父さんなんて嫌いよ! 迅くん、一緒に逃げよう?」 「おい、さくら。待ちなさい。お父さんはまだ……」 「あなた、どうされましたか? 桜、どこいくの? あら迅くんまで」 「お父さんなんて、死んじゃえー」  砂場で、バタバタと楽しげに、遊ぶ子供たちの演技を見ていると、少し悲しくなってきた。ってか、それ、何の影響だよ! 「パパ、私、逆上がりできたよ! 見た?」  美鈴が私を呼んだが、心の中は、かき乱された。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ youtubeチャンネル、毎週木曜日21時更新。 「語り部朗読BAR|北条むつき」にて 「それ、なんの影響だよ」の朗読動画絶賛公開中! 下記リンクよりご覧いただけます。 https://youtu.be/HhDuvTgA_Is
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