幹と美樹

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 ――鼻孔をくすぐる、独特の甘い香り。  僕は、ちらりと教室を見渡した。鼻を効かせて匂いの元を辿る。クラスのギャルの西崎(にしざき)さんが、一番後ろの席で、香水を振りかけながら、授業中にも関わらず堂々とメイクをしている。  僕は少しほっとして、また黒板をぼんやり見つめた。甘い香りには、切ない記憶しかない。僕は目を閉じた。  ――甘い香りは、僕にとって最後の別れのようなものだ。
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