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その年の冬、僕のおばあちゃんが亡くなった。
僕が最期に会った日、おばあちゃんから甘い香りがしていた。死期を予言する、独特の甘い香り。
僕は甘い香りを嗅ぐと、不思議と覚悟が決まる。
もちろん、悲しいや苦しいといった感情もある。でも、せっかく神様が『この人に会えるラストチャンスですよ』とわざわざ教えてくれるのだから、伝えたいことを伝えよう。その人にしてあげたいことをしよう、と、腹を括れるのだ。
僕はその日、おばあちゃんの家に寄って、修学旅行のお土産を渡してすぐ帰る予定だったが、夜までおばあちゃんちにいた。修学旅行の思い出話をたくさんした。おばあちゃんはうんうんと嬉しそうに頷いて聞いてくれた。
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