幹と美樹

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 ***  高三に上がる春休み。始業式前日、僕は学校に来ていた。  担任から進路に関する書類を取りに来いと呼び出された。別に明日に渡せばいいじゃないかと思ったけど、明日にはもうクラス替えと担任変更がある。だから教師も面倒事は今日までに全部済ませておきたいのだろう。ちょっと面倒臭いな、とは思ったけど、そんな文句を僕は口にしない。こういうところが気弱だと付け込まれるのだろう。  書類を渡されたとき、進路を考えておきなさいね、とやんわり忠告された。僕は進路が決まっていなかった。周りの友達は皆、進学する。大学や、専門学校。でも周りに流されて、じゃあ僕も進学する、とは軽々しく言えなかった。
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