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――とはいったものの、かなり見切り発車でここに飛び込んでしまったので、僕自身も慌てていて、自分の言いたいことを言葉にするまで、かなりの時間を要した。
「自分が、どうしたいのか、よく分からないんです」
絞り出したその台詞は、前置きなど全く無い、断片的すぎる言葉だった。自分で発した言葉が、あまりに拙かったので、僕自身もびっくりした。
「進路のことですか?」
――と、幹先生が聞いてきたので、僕は、はいそうです、とこくこくと頷いた。
彼女は暫く黙ったあと、こう言った。
「日記を書いてみるといいかもしれません」
「日記……ですか?」
僕はぽかんと口を開けた。半年前と同じだ。幹先生のアドバイスは、やっぱりどこか虚を突く不思議なものだ。
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