幹と美樹

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 久しぶりに会った幹先生は僕の本を持っていた。会う前に本屋で買ってきたんだという。  もちろん本は僕が郵送して送ったが、自分のお金で買いたかったんだと、先生は話してくれた。僕はその場でサインをした。 「そっくりですね」  ――と、幹先生は言った。 「何がそっくりなんですか?」 「私の字と、よく似ています」  自分のサインの上に『幹先生へ』とマジックペンで書いた僕の字は、トメ、ハネがしっかりしていた。だが、丸みはしっかりとあって全体としては優しい印象だった。
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