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僕は幹先生の家を出たところで、膝に手をつき、大きく息を吐いた。
「……はぁっ」
――僕の手は、身体は、声は、震えていなかっただろうか。
僕は不安から意識を逸らすように、ぎゅっと目を瞑った。
――帰ら、ないと。
幹先生の家から遠ざかるように歩き始めて、胸がどんどん苦しくなるのが分かる。足ががくがくと震える。いやだ、やっぱり帰りたくない。
――先生、幹先生!
心の中で、叫ぶ。
立ち止まりたい。振り返りたい。でも――
「――美樹くん!」
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