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国語準備室に入ると、部屋にいるのは幹先生だけだった。幹先生は一番奥の机で、もくもくとパソコン作業を行っていた。
幹先生は、生徒からはちょっと変わった女教師という評判だった。とにかく無表情で、何を考えているのかよく分からない。事務連絡以外の言葉を一切発さない超無口な教師。髪もベリーショートで、さっぱりしていて、少しきつい印象がある。鉄仮面というあだ名があるくらいだ。僕は女王の教室や家政婦のミタにも匹敵するのでは、とこっそり思っている。
「幹先生、二年三組の宿題を持ってきました」
手を止めた幹先生は、こちらに向き直って、その細い腕で四十人分のノートをひょいと受け取った。
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