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「関田駄目か?」
野崎のどこまでも熱くて真面目な視線が俺にそそがれて俺はふるふると首を横に振った。
「...駄目、じゃない。」
真っ赤になって聞こえるか聞こえないかギリギリの声で言えばまた野崎は嬉しそうに笑う。
「良かった。嫌がられたらどーしようかと思った。」
あんまりにも、あんまりにも優しく笑うからドキドキしてしょうがない。
野崎のテニスの練習のせいでマメのできた手が俺の手を握った。ゴツゴツとしていてあったかい。
「...っ...。」
手を握るのなんて初めてじゃないはずなのに野崎相手だとこんなにもドキドキする。心臓が破裂してしまいそうだ。
「関田の手、あったかいな。」
「の、野崎の手だってあったかい。」
「心臓がおかしくなりそうなんだ。ドキドキして火照ってどーしようもない。俺、カッコ悪いだろ?」
頬をうっすらと赤く染めて笑う野崎に首を横に振った。
ドキドキして火照ってどーしようもないのは俺も同じなのだ。
「カッコ悪くなんかない。俺も、ドキドキしておかしくなりそう。」
真っ赤な顔でそう言えば野崎はまた嬉しそうに笑った。
とにかく幸せで幸せでここが道端なのも忘れて俺の家につくまでずっと手を繋いでいたのだった。
野崎と初めて手を繋いだだけでここまでドキドキして気分が浮上する俺は我ながら単純な奴だと思った。
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