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チクリ、とした痛みが首筋に走って意識が浮上する。
うっすらと目を開けばドアップの佐々木の顔があった。最悪の目覚めである。
「関田やーっと起きた。もう6時限目終わるぜー。」
「まじか...。つかなんで目覚めて最初にテメェの顔見なきゃいけねーんだよ。」
「ひでぇ。」
首に走った痛みに違和感を覚えつつも気のせいだと自己完結する。もしくは虫にでも刺されたに違いない。
のそりと起き上がって髪をかきあげた。
「よくねたー…。つか体いてぇ。」
「コンクリの上で寝てるしな。」
「だな...。」
んー…、と伸びをして立ち上がる。そうすれば佐々木も立ち上がった。
「教室帰んだろ?」
「あー…。うん。」
キーンコーンカーンコーン、と6時限目の終了を告げるチャイムが鳴って俺達は屋上を後にした。
教室に戻ってみれば野崎のまわりには女子がいて楽しそうに話している。それを見て少し悲しくなったもののフルフルと首を横にふった。
(野崎モテんだからしょーがねぇし。)
本当はまわりに野崎の恋人は俺だと言ってやりたいのだけれど無理なのが現実だ。それはそれでしょうがない。割りきるしかないのだ。
けれど頭では分かっているのに俺の心ん中は不安一色で身体の関係なしの恋愛でもいいなんて思ったりもしたけれど実のところ早く繋がって安心したかった。
身体だけの繋がりでもいいから何か俺と野崎を繋ぎあわせるものが欲しいのである。
(あー…俺サイテー…。)
自己嫌悪に陥りながらも俺は深い溜め息をはいたのだった。
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