胸やけするほど甘くてゆっくりだけど!

13/18
316人が本棚に入れています
本棚に追加
/192ページ
 帰りのHRの後俺はいつものごとく野崎の部活が終わるのを待っていた。  いつもなら佐々木も少しだけ俺の相手をしてくれているのだけれど今日は終わった途端にどっかに行ってしまったのである。 (つまんねぇなぁ...)  1人野崎の席に座ってケータイをいじっていればガラリと教室のドアが開いた。佐々木かと思ってそちらに視線を向ければそこには部活に出ているはずの野崎が息をきらして立っていた。 「関田!」  野崎は急いでコチラにかけよってくる。  俺はいまいち状況理解ができなくてきょとんと野崎を見つめた。 「な、なんで野崎...部活は...?」 「そんなのサボったッ...」 「はぁ?」  一体どうしたというのだろうか。首をかしげれば何故か野崎が目を見開いた。そして酷く悲しそうな表情をしてみせた。 「関田は...佐々木の事が好きなのか...?」 「は?」  話が飛躍しすぎている。まったくもって理解ができない。いきなりなんなのだろうか。大体何をどうしたら俺が佐々木の事を好きだなんて話になるのだ。  佐々木は下品でバカでヤリチンだけれど別に特別嫌いなワケではない。 「別に嫌いじゃねーけど...」  素直にそう言えば野崎は泣きそうなぐらい顔をくしゃりと歪めた。 「やっぱ佐々木の事が、好きなんだな...なんか、ごめん、気づかなくて...。」 「は?」  やはり今日の野崎は意味が分からない。 「ちょ、オマエ何言ってんの?」 「...関田は佐々木の事が好きなんだろ?」 「え、そりゃ友達として好きだろ。」 「え?」 「恋愛としては別に好きじゃねーけど。」 「そ、なのか?」 「だって俺と付き合ってんの野崎、じゃん。」  少し照れながら言えば野崎は少し低い声で俺に問う。 「じゃあ、その首の痕は何?」 「...は...?」  痕、と言われても何が何だか分からない。首に何か痕なんてあっただろうか。
/192ページ

最初のコメントを投稿しよう!