6人が本棚に入れています
本棚に追加
隊員に抱きかかえて吊り上げられ、穴を通過したとき、穴の上の床に「子供が下にいます。助けて」と血で書かれた文字が見えた。
--------
「子供が母親を探していますが・・・」
「お前、ちゃんと話をしろ」
「いやですよ。こういうのは苦手なんです」
「お前が、母親が知らせてくれたって言ったんだろ?」
「それはそうですが・・・、実際あのメモでわかったんですし」
「いつ、亡くなったんだ?」
「おそらく、地震のほぼ直後。子供を探し回ったのだと思います。近辺、這った血の跡があっちこっちに付着してます。穴から子供を見つけて、最後の力を振り絞って書いたのでしょうね。でも、子供は今さっきまで一緒にいた、と言ってます」
「う~ん、混乱してるんだろう。でも、よく食料が手元にあったよなあ。よく、コンビニで食料を買っていたものだ。あのおかげで怪我はしてるが、元気だ」
「それが・・・」
「ん?」
「あの、コンビニ、地上にありますよね。そこの店主が救助を手伝ってくれてて」
「ああ、俺の先輩。元消防隊員。助かるよなあ」
最初のコメントを投稿しよう!