プロローグ:奇妙な本

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プロローグ:奇妙な本

永刹学園(えいせつがくえん)に”ある”校舎には一つだけ図書室が安穏の地として存命していた、この学園の不思議と呼ばれるモノの1つがそこにはある、叙事文(じょじぶん)が書かれている本である。 本の題名は「永刹学園の昔話」 絵本のような大きさというより、国語辞典のように分厚い見た目で、読む人を”選ぶ”本といえる近寄り難い本。 これが不思議なのである、およそ100年前にこの学園が設立された時から在り場所を見つけている、文字通りこの学園の”昔話”の本なのだ。 そして奇妙なのは題名や内容だけとは言い難い。 この本は100年前からあるにも関わらず、見た目を日焼けや傷といえる損傷がない新刊書のように綺麗な状態で存在し続け、特にフィルムなどで外装を守っている訳でもない、まるで美しさをキープしようとし続ける女性のように綺麗で在り続けていた。 図書員の適切な処置のおかげだろうか?室温調整や湿気への配慮、紫外線対策を視野に入れ行動し、忘れることなく維持し続ける、 努力の賜物だ。 だがしかし、図書員がこの”校舎”にはもういない、時間が自然の流れで過ぎ去っていったことが原因だろう。 時代と共に変化が起こるのは当然のことだと言わんばかりに、 新たな校舎が学園校内に造られ始め、完成し、移り変わり、転回を遂げる。 変化に置いてけぼりにされたこの校舎はまだ使えるだろうと残された、 ”旧”校舎がその場に残る。 昔ほど使われなくなった”旧”図書室(旧校舎)と奇妙な本と共に其処にある。
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