第01章 : 放課後告白タイム

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 教室に入ると、毎日の決まったやり取りが始まる。 「よっす! 今日も愛兎は時間ギリギリじゃね~か」  朝から FULL MAX の元気で話し掛けてきたのは 戸塚 涼(とつか りょう)  涼とは小学校からの親友。  腐れ縁という言葉があるが、間違いなくその類。  華奢で女顔の僕とは正反対で、涼はワイルドな面構えで体格も良い。  THE 男子! とでも表現しておこうかな。 「おはよう涼! ギリでも間に合ったんだから良いだろっ?」  僕と涼は、日々と代り映えのない会話を交わす。  席に着いた僕の耳に、柔らか~な声が届く。 「愛兎くん、おはようございます」 「おはよう! 白百合」  隣の席に凛と座る美少女。  その名も 颯馬 白百合(そうま しらゆり)。  白百合は、名前の通りに真っ白で透き通った肌をしている。  長く伸ばした美麗な黒髪が似合う【和風美人】な女子。  いや、最早【女性】と定義しようじゃないか。  僕は、霊の存在同様に、神様を信じるタイプではない。  しかしながら、もしも神様がいらっしゃるのであれば、一言お礼を言わせて頂きたい。 『白百合の隣の席にして下さり、本当にありがとぅうございまっす!!』  そう心で叫ぶ春の朝だった。  昼休みになると、僕と涼。そして白百合は茶道部の部室に向かう。  白百合は茶道部に所属している為、部室を自由に使用出来る権利があるのだという。  まぁ茶道部とは名ばかりで、実際の活動内容ときたら、毎日ペットボトルに入った【こ~いお茶】を賞味し、2名だけの女子部員で女子トークを繰り広げている事には触れないでおこう。  部室の引き戸を開けると、もう1人の茶道部部員 麻野 霞(あさの かすみ)が、一足先に到着していた。 「みんな遅いよぉ! 霞はもぅお腹ペコペコだよぉ!」 「ごめんなさい霞。霞のクラスは、授業の終了が早かったのですね? お食事にしましょう」 「百合りんが謝る必要は無いけどさっ。ほら! 男どもは早く座る!!」  霞の僕と涼への対応は毎度の事と思い、僕達も席に着いた。  僕と涼。そして霞は同じ中学校出身。  霞のおかげで、白百合とも仲良くなれた。 『霞……。マジサンキュー』  隣のクラス2-B所属の霞は、お調子者の性格だが、それを演じているのを僕は知っている。  本来は空気を読んだり、誰よりも優しい一面を持った良識ある女子。  栗色のショートボブが似合い、赤いフレームの眼鏡を掛けていて、その奥にはクリクリした大きな瞳が特徴的な容姿をしている。  そんな繋がりがある4人は、プライベートでも仲が良い。  いつも昼休みは茶道部部室で昼食を食べる事が、なんとなくの決まりだった。特段、誰かが言い出した訳でもなく自然な流れ。  きっと友達ってそんな関係なのかな? と、思いにふけっていた。  同時に、僕と涼が茶道部部員では無いにも関わらず、部室を使っている事に対しての罪悪感が少しは頭を過ったが、今は良しとしておこう。
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