22人が本棚に入れています
本棚に追加
「兎に角、僕は気のせいだと思いたい。思いたいけれど、聞こえるのは事実なんだ」
「ってかよぉ? 愛兎って霊感とかあったのかよ?」
「そうそう! 霞もそう思た。マナちゃんから今までそんな話し聞いた事無かったったよね?」
「私も初めて聞きます」
「霊感ってものを、今まで考えた事すら無かった。それが今はこれだよ……」
「まぁなんだ、アレだなアレっ。気にしない様にってのは無理かもしんね~けどよ、別の部屋で寝てみるとか、なんか対策してみたらどうだ?」
「私もそう思います。たまたま愛兎くんの部屋で聞こえるだけかもしれませんし」
「うん……。今日から試してみるよ」
「でも本当にギブの時は、いつでもオレん家に泊まり来いよ? 一緒に寝てやるからよ」
「キャ――っ! 霞、BLとか無理なタイプなんですけど~!!」
「ちげ~よ! そんなんじゃね~って!」
こんなやり取りを見て、話して良かったと心底思った。
喉につかえてた何かが、スルリと落ちた気分。
これにて、悩みの告白は終了かな。
「これで、一旦は解決ですね愛兎くん? 私は、愛兎くんから告白されるんじゃないかと思っていたので、少し残念でしたけれど」
な、な、何を言っちゃってるのかな? 白百合さん!?
貴女様は、冗談とかを言うキャラじゃないですよね!?
耐えかねた僕は、涼と霞に視線を移す。
あたふたした僕を見て、涼と霞の口は無音で以下を表現していた。
バ・レ・テ・ル
声は出ていないが、はっきりと読み取る事が出来る。
いやいや。
僕が白百合に恋心を抱いている事実は公表していない。
きっと今否定する事で、涼と霞は更にからかってくる事は、容易に想像が出来る。自殺行為。
今は沈黙を貫こう。
うん、そうしよう。
白百合に視線を戻すと、頬が【桜色】に染まっていた。
『え”!? バ・レ・テ・ル !?』
僕は心に問い、心は僕を動揺させた。
この話は本気で終わらせてやる!
「みんな。今日は聞いてくれてありがとう」
「おぅ! 悩みがあったらいつでも言えよな!」
「水臭いよマナちゃんは! もっと霞達を頼っちゃいなよ!」
「そ、そうですよ……。いつでも私を頼って下さいね……。本当にすみませんでした……。早とちりしたみたいです」
あ、あぁ……。
冗談じゃなくて、本気で言ってらしたのですね……。
生真面目な白百合の頬。【さくらんぼ色】にレベルアップしてるわぁ……。
下校時刻になり、僕達4人は部室を後にした。
もちろん、4人それぞれの右手は【こ~いお茶】の空になったペットボトルを持って。
最初のコメントを投稿しよう!