第01章 : 放課後告白タイム

6/6
前へ
/155ページ
次へ
「兎に角、僕は気のせいだと思いたい。思いたいけれど、聞こえるのは事実なんだ」 「ってかよぉ? 愛兎って霊感とかあったのかよ?」 「そうそう! 霞もそう思た。マナちゃんから今までそんな話し聞いた事無かったったよね?」 「私も初めて聞きます」 「霊感ってものを、今まで考えた事すら無かった。それが今はこれだよ……」 「まぁなんだ、アレだなアレっ。気にしない様にってのは無理かもしんね~けどよ、別の部屋で寝てみるとか、なんか対策してみたらどうだ?」 「私もそう思います。たまたま愛兎くんの部屋で聞こえるだけかもしれませんし」 「うん……。今日から試してみるよ」 「でも本当にギブの時は、いつでもオレん家に泊まり来いよ? 一緒に寝てやるからよ」 「キャ――っ! 霞、BLとか無理なタイプなんですけど~!!」 「ちげ~よ! そんなんじゃね~って!」  こんなやり取りを見て、話して良かったと心底思った。  喉につかえてた何かが、スルリと落ちた気分。  これにて、悩みの告白は終了かな。 「これで、一旦は解決ですね愛兎くん? 私は、愛兎くんから告白されるんじゃないかと思っていたので、少し残念でしたけれど」  な、な、何を言っちゃってるのかな? 白百合さん!?  貴女様は、冗談とかを言うキャラじゃないですよね!?  耐えかねた僕は、涼と霞に視線を移す。  あたふたした僕を見て、涼と霞の口は無音で以下を表現していた。  バ・レ・テ・ル  声は出ていないが、はっきりと読み取る事が出来る。  いやいや。  僕が白百合に恋心を抱いている事実は公表していない。  きっと今否定する事で、涼と霞は更にからかってくる事は、容易に想像が出来る。自殺行為。  今は沈黙を貫こう。  うん、そうしよう。  白百合に視線を戻すと、頬が【桜色】に染まっていた。 『え”!? バ・レ・テ・ル !?』  僕は心に問い、心は僕を動揺させた。  この話は本気で終わらせてやる! 「みんな。今日は聞いてくれてありがとう」 「おぅ! 悩みがあったらいつでも言えよな!」 「水臭いよマナちゃんは! もっと霞達を頼っちゃいなよ!」 「そ、そうですよ……。いつでも私を頼って下さいね……。本当にすみませんでした……。早とちりしたみたいです」  あ、あぁ……。  冗談じゃなくて、本気で言ってらしたのですね……。  生真面目な白百合の頬。【さくらんぼ色】にレベルアップしてるわぁ……。  下校時刻になり、僕達4人は部室を後にした。  もちろん、4人それぞれの右手は【こ~いお茶】の空になったペットボトルを持って。
/155ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加