現実はSNSにかなわない

一

　神社巡りが趣味の二十三歳。
　まだ就職二年目でお金がないからあまり遠出はできないけど、休みの日に近場を廻って神社の写真を撮って、SNSにアップするのが私の楽しみだ。
　学生時代から神社についての文献をたくさん読んでいてほとんどオタクの域にある私と、話の合う友達は誰もいなかった。
　だからいつも一人で趣味に没頭してきた。
　そんな中で、SNSに写真や神社の知識をアップし始めて同じ趣味の人達と知り合えたことは、孤独だった私の毎日を一気に明るくしてくれた。

　趣味仲間の「たいき」くんは、SNSのフォロワーの一人。TwitterもInstagramも相互になっていて、リプのやり取りで仲良くなって以降、DMを使って神社トークで盛り上がることが多くなった。
　そのうち、趣味以外のことまでいろいろと話すようになって、お互いの写真も送り合った。
　たいきくんはひとつ年上で、すごくイケメンというわけではないけど、人好きのしそうな明るい笑顔をしていた。私はその写真を保存して暇さえあれば眺めながら、密かにたいきくんに恋をしていた。

　そのたいきくんから、
“今度一緒に神社行かね？　まいかとならすごい楽しそう”
　というDMが届いたのを見て、私は固まってしまった。