現実はSNSにかなわない

四

　結局そうなのだ。どんなに文字で意気投合しても、どんなに楽しい時間を重ねてきても、ビジュアルの魅力にはかなわない。
　私のような外見では、SNSで積み上げた信頼関係なんて、容易く崩れてしまうのだ。
　夕梨花も妙に好意的だし、二人はこのままつき合ってしまうんじゃないだろうか。
　そしたら私はどうすればいいの？
　好きになった人をこんな形で妹に取られるなんて、みじめ過ぎるし、考えたくない。
　いっそのこと、会う約束を断ってしまおうか。
　そう思って、
“今週末さ”
　と送ったら、
“うん、楽しみだね。どこで待ち合わせる？”
　と返って来たので、断れなくなった。

　もう、こうなったら仕方ない。
　嘘をついた罰だと思って、今回までは我慢して会おう。
　その後は忙しいフリでもして距離を置けばいい。夕梨花とたいきくんは直接連絡を取れないし、私がSNSからフェードアウトすれば全部無かったことになる。
　Twitterアカウントは新しくもう一つ作って、親しい人にだけ連絡してフォローし直してもらって鍵をかけよう。
　Instagramは、しばらく放置しよう。写真はTwitterでも載せられるし、親しい人は皆Twitterで繋がってるし、問題ない。
　虚しい。
　恋愛問題ひとつで、こんなことになるなんて。
　これまで過ごして来たたくさんの楽しかった時間も、心地いい居場所も、たったこれだけの人間関係で失うことになるなんて。