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「ダメじゃないならOKってことで」
「で、でも私……たいきくんに嘘をついたし……」
「だから俺も騙し返したじゃん。それでチャラ。妹さん言ってたよ、まいかは普段はそんなやつじゃないって。俺のこと好きだから嫌われたくなかっただけだって」
夕梨花、しゃべり過ぎだけどありがとう……!
「じゃ、そういうことで」
たいきくんは私の手を引いて、歩き出した。突然のことに、握られた手が自分のものじゃないみたいに利かなくなる。
「ど、どこに行くの?」
「亀戸天神デートのやり直し」
まさかの二週連続。
そうしてまで先週のデートを私との記憶に書き換えてくれることが嬉しくて、私はついに泣き出してしまった。
「あと俺の本名大樹だから、二人の時はそう呼んでよ」
「うん……たいじゅくん、ありがとう……」
さっきまでの憂鬱が全部消えてなくなった。
先週とは打って変わって幸せな涙で頬を満たして、たいじゅくんに泣き過ぎだってからかわれながら総武線快速ホームへのエレベーターを下りていく。
恋愛ってこんなふうに始まるんだなーなんて考えながら、ふとスマホを見ると、夕梨花から“追加でバッグもよろ”とLINEが入っていた。
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