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“風鈴堂ってお店に入った。席空いてるよー”  夕梨花からのLINEを見て、私は少し冷静さを取り戻した。  そうだ。夕梨花は別にたいきくんを好きなわけではない。あくまでも、私の身代わりを務めてくれているだけなのだ。  そしてそれを頼んだのは私なのに、何を腹を立てているのだろう。  私は気を取り直して、二人がいるお店に向かった。  風鈴堂は、たいきくんが好きそうな和風カフェだった。“まいか”と来るために調べててくれたのかもしれない。  奥の席に二人の姿を見つけると、私はちょうど斜めにたいきくんが見える窓際の席へと座った。ここならギリギリ声も届く。 “風鈴堂入りました”  夕梨花はLINEに気づくと、 “おけざむらい”  と返事をくれた。  私は抹茶ケーキとお茶を頼んでから、二人の声に耳を傾けてみた。 「それ、美味しい?」 「うん」 「何味?」 「えっと……チーズみたいな?」  夕梨花は食レポが下手だ。 “これ何味って言えばいいの?”  食べ始める前に撮ったであろう写真がLINEで送られてきた。  そこに映っているものとメニュー表を照らし合わせて、おそらく抹茶ティラミスだろうと推測する。
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