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“クリームチーズとあんこが相性良くておいしいとかは?”
「クリームチーズとあんこが相性良くておいしい」
「へぇ、おいしそう」
“たいきくんのは?”
「たいきくんのは?」
「味は普通の練り切り。一口交換する?」
“恥ずかしいからやめとく”
「するする!」
え?
ちょっと待ってよ! 私は焦った。たいきくんが妹と食べ物をシェアするなんて、絶対に嫌だ。
「あ。……やっぱり恥ずかしいから、やめとく」
私はホッと息をついた。
“一口分けるくらいよくない”
“ダメ”
「まいかさぁ」
「んー」
夕梨花は私の返信を見ながら空返事する。
「俺といてもあんまり楽しくない?」
「えっ?」
「さっきからスマホばっかり見てるから、退屈なのかなって」
私はそれを聞いてギクリとした。
「えっと、これは、その……、癖で」
「まいかいつもTwitterにいるもんな」
「そ、そう!」
「でも会話しながら目の前で触られてると、さすがにちょっと気になるっていうか……」
「えっと、でも、これは……」
どうしよう。私のせいだ。
夕梨花はパッと謝れるタイプじゃない。機転が利くタイプでもない。でも助け船を出そうにも、言われた側からスマホを見たりしたら余計こじれる。かといってこのまま放っておくわけには――。
私は思い切って立ち上がった。そして二人の席に近づいた。たいきくんがぎょっとした目で私を見る。
「ごめんなさい! それ、私とLINEでやり取りしてたんです!」
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