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恐怖の電車
一人の女が暗い夜道を歩いていた。
彼女は喜以子という二十四歳のOLである。
今日は金曜日ということで、彼女は、雑誌に載るほど評判のよいイタリア料理店で会社帰りに友人と一緒に食事をした。
雑誌に載っているといっても、ハズレも多いのだが、今回は雑誌の評判通り、味は抜群だった。
その後も何軒かの飲食店に立ち寄ったが、すぐに夜の零時を過ぎてしまった。
まだ電車は動いているが、残っているのは最終列車だけだった。
しかも、その列車は彼女の自宅近くの駅の一つ前の駅までしか行かない。
とはいえ、一つ前の駅まででも行けるだけましだ。
彼女は電車に乗るために、タッチ式の定期カードを改札の読み取り機の上に押し当てて、改札口を通り抜けた。
彼女が住むマンションは、今回の終点の駅から歩いて行ける距離なので、自分のマンションにつくころには酔いも覚めているだろう。
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