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「あらあら……イケメン君が台無しね。」
突然、聞こえた女性の声に振り向くと、そこには金髪の女性が立っていた。
その金髪が染めたものではないことはすぐにわかった。
なぜなら、女性の顔の作りは、どう見ても外国人だったから。
しかもけっこう美形だ。
女性は、ローブにマントをつけ、三角の帽子をかぶっている。
その格好から察するに、さっきの河童男の友達ではないかと思った。
「あんた、さっきの河童の友達なのか?」
「……友達ってほどじゃないけど、まぁ、一応は知り合いね。
河童はやっぱりここに来たのね?」
「あぁ、来た。
河童になにかをされたから、こいつはこんな風になったんだ。」
「ごめんね…ハロウィンのことを話したのは私なの。
西洋では、ハロウィンの日に子供達が仮想してお菓子をもらいに行くんだって。
でも、まさか本当にもらいに行くなんて……」
「そんなことはあとだ。
とにかく、こいつをこのままにはしておけない。
救急車を呼ばないと……」
俺は、部屋にスマホを取りに行こうとした。
「……無駄よ。」
背中からかけられた声に俺はゆっくりと振り返る。
「どういうことだ?」
「ほら、見て……」
女性は龍之介の身体をひっくり返した。
「なんだよ。」
「ここ…」
女性が指差したのは、あいつのズボンのお尻のあたりだ。
そこには小さな穴が開いていた。
「倒れた時に破れたのかな?」
「違うわ……抜かれたのよ。
尻子玉を……」
「……なんだって?」
「し、り、こ、だ、ま。尻子玉。」
女性は、片手をすぼめて上を向け、一言ずつゆっくりと発声し、最後の『ま』で花が咲くようにぽんと手を開き、最後に拝むように両手を合わせた。
「何なんだよ、それ。」
「簡単に言うと、魂みたいなものよ。」
「た、魂だって…!?」
女性は、にこりと笑って頷いた。
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