ハロウィンの夜の訪問者

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奴とは俺が一人暮らしを始める家を探してる時に出会った。 とにかく金のない俺は、少しでも安い家をみつけたくて、大学から少し離れた町の不動産屋を訪ねていた。 そんなことになったのも、自業自得…… * 「おぉっ!!いつの間にこんなに!」 俺は、母親の差し出した貯金通帳を見て、目玉が飛び出しそうだった。 「いいか、義昭。 父さん達は、おまえを大学に行かせるために、こうやって長い間コツコツとお金を貯めて来たんだ。 それなのに、今頃になって大学に行かないとはどういうことなんだ!」 「だ、だって、大学なんてお金かかるし……」 「だから、こうして金の心配ならいらんと言ってるだろう!?」 「そ、そりゃあそうだけど……」 大学なんて端から行くつもりはなかった。 なんたって、俺が目指してるのはバリバリのロックミュージシャンなんだから。 フリーターでもしながら、バンドメンバーを探して、そして、全世界をツアーして回るようなビッグなミュージシャンになってやるんだ! 親父は自分が三浪しても入れなかった大学に俺を行かせるのが夢らしく、子供の頃からそんなことを言ってはいたが、そんな言葉はいつも右から左にすり抜けていた。 中学の頃、ハードロックに目覚めてからは、特にそうだった。 俺には親父のリベンジをしてやるような気持ちはさらさらなかった。 リベンジなんてものは、自分でやらなきゃ意味がない。 とはいえ、そんなことを言ったって親父が納得するはずもない。 だから、俺は、適当に勉強してるふりをして、大好きなハードロックに酔いしれていた。
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