ハロウィンの夜の訪問者

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「ほら、玄関もこんなに広いんですよ。」 家の中を見せてもらい始めた頃、外に車が停まる音がして…… 入って来たのが、あいつだったんだ。 「あれ、宮田……」 「高田さん!」 服装からして、二人は同じ不動産屋の人みたいだった。 「この方が、ここを借りたいと。」 「おいおい。ここはこの方が先だぞ…」 二人は、顔を付き合わせ、小声でなにやら話してた。 もう一人の不動産屋が連れて来ていたのは、今と少しも変わらない牛乳瓶の底みたいな厚いレンズの眼鏡をかけた、ダサダサの龍之介だったんだ。 俺は、ファッションには特別こだわる方だから、本当に龍之介みたいなタイプは苦手で… 喋る気もしないから、あいつに背中を向けて不動産屋さんを待っていた。 そしたら、龍之介がつかつかと俺の傍に来て、はっきりとこう言ったんだ。 「ここは僕が借りるから。」 見た目とは裏腹に、なんだかすごく偉そうな言い方だった。 「か、勝手なこと言うなよ。 ここは俺が借りるんだ!」 かっとなった俺は、あいつを睨みつけてそう言い返した。 「僕が借りる!」 「いや、俺だ!」 言い争ってる俺達を見て、不動産屋が飛んできた。 「まぁまぁお客様、落ち着いて。 それではシェアされてはいかがですか?」 「部屋数は十分ありますから。」 二人が同じような笑みを浮かべてそう言った。 「お断りだね。 今時、こんなヘビメタみたいな格好をしてる奴となんて一緒に暮らせるわけがない。」 「へ、ヘビメタって言うな! 俺が好きなのはハードロックだ!」 「まぁまぁ……」 本当に失礼な奴だ。 こっちこそ、こんな奴と一緒になんて住む気なんてさらさらない!と思ったものの…… 「シェアだとお家賃がますますお安くなりますよ~」 ……との不動産屋の言葉に、俺と龍之介は思わず顔を見合わせた。 俺と龍之介には貧乏っていう共通点があったんだな。 そんなことから、俺達は結局同居することになったんだ。
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