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「……なぁ…もしかして、今日もカレーか?」
「カレー、好きだろ?」
「そりゃあ好きは好きだけど…」
「だったら、文句言うな!カレーが一番安くて栄養がとれるんだから!」
「……はいはいっと。」
こんな答えが返ってくることは、質問する前からわかってはいた。
あいつの言った通り、月末はたいていカレーと決まっている。
俺は、好きなものベスト3に入るくらいカレーが好きではあるけれど、月末のカレーは野菜だけのカレーだからいやなんだ。
ベジタリアンでもないのに、何が悲しゅうて肉なしのカレーを食べにゃならんのだ!
……って、それは単に貧乏だから。
そもそもこんな変な奴と同居してるのも、俺が貧乏だからに他ならない。
四条龍之介……初めてあいつの名前を聞いた時、「おまえは侍か!」…そうつっこみたくなった。
とはいえ、平凡で昭和チックな名前の俺からすれば、すっごく羨ましい名前だ。
でも、ごたいそうな名前とは裏腹に、あいつのルックスはとてもショボイ……いや、変だ。
今時、一体どこでみつけてきたのかわからない、まるで、コントみたいな厚いレンズの眼鏡をかけて、見たこともないキャラクターの描かれたTシャツにスラックスという、だささ満載の服装をして、いつもでっかいリュックを背負って何かを読んでいる。
そう、奴の趣味は勉強なんだ。
いや、趣味なんて生易しいもんじゃないな。
……生き甲斐とか、使命みたいなものと考えてるのかもしれない。
今も、大学院を目指して日々勉強中だ。
ちなみに、これでもう三年目なんだけど……
奴はとにかく「勉強」というものが大好きで、誰よりも真面目でものすごく努力家なのに、悲しいことに頭が良くない。
考えてみればとても不憫な奴なんだ。
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