おいでませ、勇者様

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おいでませ、勇者様

「イリアよ、この世界は魔王に侵略されつつある。」 イリアと呼ばれた女性は純白のローブを纏った頭を下げ、片膝をついた状態で正面の玉座に座る国王の言葉を静かに聞いていた。 「このままでは、いずれこの世界は魔王の手に堕ちよう。早急に"例の件"を済ませて欲しい。」 国王の言葉にイリアはゆっくりと顔を上げ、透き通った空色の瞳を国王に向けると口を開いた。 「はい、国王陛下。必ずや、魔王を討ち取ってみせます。」 イリアの瞳に決意が宿るのを見計らった国王は一度頷くなり彼女を下がらせた。 「急いで、急いで大聖堂で例の儀式を行わなければ…。」 イリアは玉座の間を後にするなり足早に城の廊下を通り過ぎ、外へと出た。 賑わう王都オルリアの城下町を一瞥しつつイリアは一人、大聖堂へと足を運んだ。 「これは、これは…イリア様、よくぞいらっしゃいました。」 大聖堂へと辿り着いたイリアを出迎えたのは白と黒のローブに身を包んだシスターの女性で、彼女はイリアを見るなり深々と頭を下げた。 「突然の訪問、本当にすみません。例の儀式の準備は…ー」 「はい、すでに出来上がっております。どうぞこちらへ。」 シスターの言葉にイリアは「ありがとうございます。」と軽く会釈をするなり、彼女の後に続いて大聖堂の中へと入って行った。
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