1-4

1/1
17人が本棚に入れています
本棚に追加
/122ページ

1-4

 関西地方。北緯34度47分53秒 東経135度14分51秒。 ――なによ、これ? どうして、こんなことになっちゃったの?   さっきまで車の中で彼氏といちゃついて、きょうのお泊りデートプランを考えながらわくわくしていたのに。せっかく美容院にいって、髪を整えて、エステにもいって、お肌のお手入れも入念にして、いい服を着てきたのに――危険日だって避けてきたのよぉ!  きょうのデートは、彼氏にたっぷりお金を遣わせて、おもう存分楽しませてもらうことになっていたのよ。 それに、きょうのデートは、わたしにとって、正念場だったのよ。彼氏をほんとうの彼氏にするため、わたしのいちばん大切なモノ――みなまで言わさないでよ。カラダよっ! わたしのカラダ(﹅﹅﹅﹅﹅﹅﹅)!――をあげることにしたのよ! ――だからって、尻軽おんなとは、おもわれたくないから、デートはしっかりと主導権を握って、のぞむことにしたの。 男と女の関係は、最初が肝心――声を大きくして言うわよ!――なのよ(﹅﹅﹅)!  ……お風呂から出たあとも、けっして、こっちからがっつかないようにして、あくまでも、向こうから(﹅﹅﹅﹅﹅)迫ってきたこととして、エッチの状況にもっていくの。これってけっこう大事なことで、後あと揉めたときだって、この事実を男に突きつけてやると、男って急に弱くなって扱いやすくなるんだから。そうやって、この男とは必ず結婚にまで持ちこんでやる! そうよ! そう決めていたのよ! そうすれば、わたしの人生バラ色――古くさい表現でわるかったわね!――よっ! ……でも、どうして? 木の枝や、草や、石っころと泥にまみれて、地面を転がらなくちゃならないの? 
/122ページ

最初のコメントを投稿しよう!