彼と彼女とカーナビと

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「はじめまして。」 「うわ!車がしゃべった!」  カーナビが起動し音声対応が始まった。留美の驚いた顔を見て健矢は喜んだ。 「これはカーナビだよ。」 「私はカーナビのナビコです。よろしくお願いいたします。」 「すごいっ、自己紹介した!」  再び留美が驚くのを見て、健矢はとても嬉しくなった。 「このカーナビの凄いところは、人工知能を搭載しているところなんだ。」 「人工知能?すごいね。まるでアメリカのドラマみたい。」 「アメリカのドラマ?」 「なんだっけ?あのドラマ、しゃべる車と男が悪者をやっつけていくやつ。」 「あ、知ってる!なんだっけ?」  健矢と留美が頭を悩ませているところに、カーナビのナビコが話を割って入ってきた。 「ナイトライダーのことですね。」 「すごい!スムーズに会話が成立してる。」  ごく自然に会話が成立していることに留美は驚いた。  たびたび驚く留美に健矢はかなり嬉しくて饒舌になった。 「そうなんだ。まるで本当に人間と話をしているみたいなんだよ。だから一人でドライブしてても全然退屈しない。いや、退屈しないどころか、むしろ、すごく楽しいんだ。」 「へえ。」  留美は早口でしゃべる健矢が嫌いだった。  せっかくイケメンなのに、こういうところが気持ち悪いな、と留美は思っていた。  しかし、そんな留美とは対照的にカーナビのナビコは、キチンと健矢と会話を交わしていた。
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