彼と彼女とカーナビと

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 健矢は焦った。 「ええ?なに?そんなに有名なレストランがあるの?」 「はぁ、わかってないな~。」  やれやれ、イケメンなだけで恋愛に不慣れな男はこれだから、と留美は呆れた。  それなら恋愛を教えてやるか、と、 「留美が好きそうな海の見えるレストランぐらい知っててよ、ってこと。」  留美は健矢を見下すように言った。  え?なにそれ?理不尽な留美の要求に健矢は唖然とした。その時、 「ポン!」  と、カーナビから検索完了音が鳴った。 「閑静な海沿いのフレンチ料理店。検索完了いたしました。」 「え?」  ナビコが二人の会話を盗み聞きして勝手に検索をかけた、と留美は驚いた。  そして、なに恋人同士の会話に割り込んでんのよ、とイライラした。 「お、サンキュー、ナビコ。」  健矢にとっては慣れたことなんだろう。  普通にカーナビにお礼を言っている。  それを見て留美はさらにイラついた。 「外観写真、店内、主な料理の画像をモニターに映します。」 「さすが、ナビコ。気が利くね~。」  何この感じ。二人のやり取りは留美のイライラを募らせていった。 「お!いいじゃん、いいじゃん、いい感じじゃん!ほら、留美も見てみろよ!」 「・・いい。」 「え?」 「やっぱり海の見えるレストラン、行きたくなーい。」
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