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この県は、スケートに力を入れていて、
街には必ずスケートリンクがあった。
幼なじみの、真宮 樹李(まみや じゅり)に誘われて以来、
私はスケートにのめり込んでいた。
スケートをやっている時は無でいられた。
自分自身を好きでいられた。
いつしか私は"氷上のプリンセス”と呼ばれるようになり、
オリンピック有力候補とまで実力を上げた。
実際、私も世界で闘おうと思っていたし、
当然まわりもそうだと思い込んでいた。
しかし、いつになっても、『藤宮美音』
その名前が、世界中に轟くことはなかった。
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